雪、雪、雪...

今日は数日前から予定していた

植木の出荷の日でしたが、

あいにく、とういうか、まあ予想通りの

天候になりました。

 

 

これは今、雑木ブームの一端を担っている

大人気樹種「コハウチワカエデ」になります。

数年前、山採りでしか販売することが

できなかったこの樹種が、

今こうして畑で生産することができるようになり、

出荷を迎えていることには、非常に感慨深いのですが

この天気と差し引くと感慨深さも薄れてくるようです(笑)

まあ、無事にトラックへの積み込みは完了しましたが

何とも大変でしたね。

積みづらい、積みづらい...

 

前の文章で、「山採りでしか~」と書きましたが

これには理由があって、ちょっと説明させていただきます。

 

山採りではなく畑で生産すること自体は

なんら難しい事ではないんですよ。

何が問題かというと、山採り株と畑でできた植木では

根本的に樹形や雰囲気が違うんです。

 

ほぼ素人だった20代半ばぐらいの自分は

たまたま山に入って見た、

アオダモやアオハダの絶大な風景に

圧倒されてネットで植木を販売しようと考え

今に至ります。

自分の実家が3代続く苗木の生産農家では

ありましたが、自分が木の仕事で一生いこうと

決心したのは間違いなく「山採り株」でした。

 

ネットで販売するものは100%山採り株を

販売していたのですが、これはこれで

難しい問題があったんです。

秋から春の期間内に数千本掘り上げていたんですが

大体、1,000本掘ったら100本ぐらいは販売できない

ものが絶対にあるんです。この100本はどういうものかと

いうと、やはり根を良く作られた畑の植木と違い

山で育った荒い根を切ったために、という原因です。

どうしても春先に芽吹いてこない木があるんです。

これが山採り株にはつきものでした。

特にネットショップは年間通して販売していたので

芽吹いてこないものはもちろん販売できませんし、

仮に春に芽吹いても樹勢が弱いと判断したものは

販売はしませんでした。これも100本ぐらいあります。

ということは1000本あたり200本は

販売できないものがあるという計算になります。

 

ある業者さんが、その樹勢が弱い

パラパラとついた葉の小さいアオダモを見て

「これが良いんじゃない!」という人も沢山いましたが

自分から見れば「いや、いや、瀕死の状態ですよ」と。

ここに、そもそもの違和感と自分の言い分、

アオダモに対する自分なりに真摯な思いが

交錯する時代に突入していくわけで...

 

アオダモにもアオハダにもコハウチワにも

そもそものある程度決まっている

通常の葉の大きさというものがあります。

これが小さかったりするということは

何か原因があるのです。

まあ、山から掘っているものですから

間違いなく根が切られて水分を吸収する根の

状態が悪いのはわかりきってることで...

この根から水分をうまく葉や枝に伝えることが

できないために自己防衛本能で

木は葉を小さくするんです。

そんな状態のものを

「これが風情があって良いんじゃない。」というのは

自分からすると完全に意味が分かりませんでした。

瀕死で何とか生きるために最小限の

葉の大きさで頑張ってる木を

どうやっても風情がある良い木とは

思えなかったんですよね。

 

ここ10年ぐらいは

雑木ブームでアオダモやアオハダ、コハや

ナツハゼなどの雑木樹種が異常に

もてはやされているのは間違いないです。

木が曲がっていて、パラパラとついている

小さい葉の木に対して

「風情があって良いな~」

「やっぱり山採り株の素朴感は良いな~」

となっていると思います。

それを取り扱っている業者さんも

そこが雑木の良さと言っている人も多数ですよね。

 

ここに異論があるんです。

 

自分は山に生えていたアオダモやコハを見て

この仕事をしていこうと決心した、あの風景は

決してパラパラとついてる弱々しい葉の木では

無いという事です。

むしろ逆で雄大さと威厳、尊厳、人間の心を

動かすことができる数少ないジャンルの魅力を

持っている自然な創造性を木に感じたんです。

 

山に生えてる木は別に葉は小さくないんですよ。

知ってました?

下枝は周りの木が大きくなって

日が当たらなくなってしまうため

葉をつけない状態になり

山採り特有の下枝が上がった樹形になりますが

日が当たる部分の上部の葉などは全然通常通りの

元気な葉をつけています。むしろ山で小さくなってる

元気がない状態の葉はほぼ見ることはないです。

 

その山で見た、これは良い!と思う木を掘った時点で

上記で書いたような見た目になってしまう。

それが現在ブームの雑木の見た目と

なっていると思うんです。

という事は、そもそも山採りすること自体、

ちょっと違うんじゃないかという結論に至る訳で...

 

ちなみに、樹勢が弱いものを畑に一端植えれば

良い根が出てきて木は元気を回復します。

ただ、そうなると最初のころの樹形とは異なりますし、

何より葉も大きくなったり厚ぼったくなって、

山にいたころの風情とは

違ったものになってくる部分が

どうしても出てきます。

それも込みでアオダモ良いな~ってなってくれれば

それはそれで良いんですが、

中には嫌だって思う人も間違いなくいると思うんです。

 

そこで自分が思うような木は山採りをしている限り

永遠に満たされ無いと思い、

山採り株はやめようと思ったんです。

自分が山採り株をやめるあたりは植木市場でも

値段は高値安定、年々値段が更新しているんじゃないか

というぐらい良い状態でした。

同業者さんからも「何考えてんの?」ってなって。

ただ、自分は畑で作りたくなったんですよね。

山採りしてる時間があれば生産工程を考えたかった。

自分が納得いく、本当の雑木の良さを見せつけたかったんです。

そこで何年もかけてやっとですよ。

 

「山採り株となんら変わらない樹形+根が良く状態の良い植木」

 

を生産することができるようになったんです。

さあ、ネットで販売だ!って時に配送業者さんから

植木はお断り!ってなっちゃって(笑)

 

これはこれで自分の人生規模で

かなりショッキングだったんですが

おかげで、いろんな発想が思い浮かんできていて

ここ数年、その発想を商品化しようと

生産作業に没頭して既に3年が経ちました。

 

早ければ来年や再来年には、

その商品をネットで販売できるかと

考えております。(まだ分かりませんが)

まあ、まだ商品というには少し不安な部分や

分からない部分がありますので

もっと詰めて内容を充実させなければと思っています。

 

もし、販売出来たあかつきには

是非ご覧いただければと思います。

 

かなりの長文、失礼致しました!!